星明り

2021.6.11

「星明り」という言葉をご存じですか?
一般的によく耳にするのは
「月明り」という言葉かもしれません。
 
満月の夜は月光読書という四字熟語が
あるように、
本が読めるほどの明るさがあり、
窓から月明りが差す経験をされたことも
あるのではないでしょうか。
 
「星明り」の明るさの体験をお話させて
いただきます。
 
私は3年前に日本最南端の島である
波照間島へ行きました。
沖縄県の石垣島から2時間弱の船旅です。
 

 
島には観光施設やコンビニ、信号も
ありません。
日中は美しい八重山諸島の景色を
眺めながら過ごし、
 

 
星明りを体感するため、深夜0時を
過ぎたころに観測台に向かいました。
真っ暗なはずの道が、星明りに照らされ
幻想的に見えたことを思い出します。
空を見上げると一面に広がる星が
夜空を包み込むような景色が
広がっていました。
 

 
地元の方が星明りについて
教えてくれました。
「電球のように本は読めないけれど、
三線を弾いて歌を届けることが出来る明かり」
そうして歌って頂いた八重山民謡と
星明りの表現はとても心に残っています。
 
私は日々を過ごす中で、
利便性や性能に長けたものと
たとえ、それらが欠けても
温かな表情を見せてくれるものであれば
後者を大切にするように心がけています。
 
それは暮らしの中でも同じことが
言えると思います。
お手入れは必要ですが、
自然素材に包まれた住まいは
時間の経過とともに
温かな表情や愛着が湧いてくるものです。
 
Nonaka