物語り

2021.5.21

昨年、ずっと憧れていたものを購入しました。
ベニワレンという、モロッコのラグです。
 
近年、住宅雑誌やインテリア雑誌等で
目にすることも多く、
私も初めはその見た目の印象が好みで
何となく「いいな、ほしいな」と
思っていました。
 
そんな時、近くのおみせで
ベニワレンが展示販売される機会があり、
素敵な出会いを期待して足を運びました。
 
様々なデザイン、大きさのベニワレンを見て
心を躍らせながら、
そこで今まで全然知らなかった
ベニワレンの歴史や知識を教えていただき、
それまで以上に「手にしてみたいな」という
気持ちが大きくなりました。
 

 
ベニワレンはモロッコ北部に住む
ベルベル人の部族によってつくられています。
羊の毛で織られているもので、
目が詰まっていて重厚ながら
ふっくらしており、
とても優しい、
気持ちがいいラグです。
使っていく程に羊の毛から油が出てきて
どんどんしっとりしていき、
より肌触りのいいラグへと育っていきます。
 
元々ベニワレンは、ベルベル人にとっての
嫁入り道具とされていて、
お母さんは娘が産まれると、
お嫁に行くまでコツコツと何年もかけて
織っていくそうです。
それぞれのお母さんによってデザインも、
織るペースも、サイズも様々。
本当に、母から娘への愛情のこもった
一点ものです。
 
「幸せが続いていくように」という想いから、
ずっと図柄が続いていくダイヤ柄が多い
そうで、
他の柄の場合も、終わりがないような
図柄で織られている、というお話でした。
 
最近は新品のベニワレンも
多く流通していますが、
ビンテージの物等は特に個性が様々で、
どれも何だか愛おしく感じるものばかり
でした。
 
思いがけず、素敵なお話を聞けて
とても嬉しい気持ちになり、
そのものの歴史や背景を知るということが、
またひとつ愛着へとつながり、
「大切にしよう」という気持ちが大きくなる
ことを改めて実感した機会でした。
 

 
私が購入したものは、
玄関マット程の小さなサイズのものですが
家の中で居心地のいい居場所となっています。
ずっと大事に育てていきたいとおもう、
大切なものになりました。
 
Kumazaki