居着く

2019.4.19

家を建てて住むということは、その場所に根を張り
居着くということだと思います。
 
その家が建つ敷地には、敷地境界線という
そこに住む人の所有の領域を明確にする境界が
存在します。
個人の領域がはっきりしている分、その領域の中で
プライバシーをいかに確保し、
自分の領域の外のことを気にせず自由に暮らすことができるか…。
近年建てられる家の多くは、この考え方が当たり前に
なりすぎて、
根を張って居着く領域を閉ざしてしまっているのではないかと思います。
 

 
上の写真は金沢市の古い長屋が建ち並ぶ地域を写した
ものです。
長屋は狭い敷地に複数の住戸を並べたもので
現在のアパートの原型のようなものです。
この長屋に住む人は、自分たちの狭い領域を少しでも
拡げていこうとしているのか、
前の道路にまで植栽を
置き、庭のように扱っています。
 
私は、プライバシーを重視するあまり閉じてしまった
家に住む人よりも、
写真にあるような家々に住む人の
ほうが、居着きの領域が広く、
自由で生き生きと
暮らしているのではないかと思います。
 
現代の分譲住宅地のような敷地では、境界を飛び越えて
自分の領域のように扱うことは現実的ではないとは
思います。
それでも、家が建つ敷地の外にまで目を向けて、
そこに住む人の居着くことができる領域を拡げられる
家を提供できないか…。
 
そんなことを日々考えています。
 
by Horikawa