古道具屋

2018.3.26

時々、古道具屋に並ぶものを手に取ることがあります。

細かいひび割れの間に薄らピンクが染みついたお猪口や
真鍮の箱、錆びた青い蓮華

何だったのかはよく分からないのですが、

回った跡の残る白い陶や、柔らかく角のとれた木の塊など。

 

うす暗い店の棚に並んだそれらがもつ

人の手だけでは完成されなかったであろう色や形に惹かれ、

つい手元に置いておきたくなってしまうのです。

「しっかり古くなっていくものがいいよ。

いつかふと周りを見渡した時、

気づいたら自分だけ歳をとっているなんて寂しいじゃない。」

ある店主の言葉です。

私たちも歳をとり、生活道具も歳をとる。

その時、すべてを包み込む家という存在はどうあったらいいだろう…。

 

古道具の持つ時間を帯びた色や形を眺めては、

こんなものはとても自分には作れないな
と思ってしまうのと同時に、

歳を重ねていくことを見据えた今ある形に責任を持ちながら、

住宅設計という仕事に関わっていけたらいいなとも思いました。

 

by Yanai