F.L.ライトを訪ねて

2017.5.29

ここ愛知県に20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライトの設計による世界的に有名な建築物があります。1921年に建築された旧帝国ホテルです。東京から移築されて今年で43年になります。

 

移築されたのは正面玄関とホワイエ、ロビーといった一部ではありますが、それだけでもかなり迫力のある佇まいです。ライト自身が平等院鳳凰堂に強い感銘を受けてデザインされたということで、確かに左右対称の美しさがあります。日本の文化を好み、ガラスもステンドガラスでは日本の風土に合わないということで、代わりに小さな金箔を市松に貼っています。日の光を反射させ、きらりと光るその上品さに思わず魅了されました。

また、私たちが今でも住宅に使用している当時の大谷石や常滑で焼いたタイルも現役で残されています。

 

 

ロビーや2階のカフェに何気なく置いてあるこちらの椅子もライトがデザインされたもので、この椅子は日本の女性のために設計されたそうです。小柄で背が丸かった当時の日本の女性たちの姿を見て、彼女たちが背筋を伸ばし、見た目をより美しく、そして背面から内臓を刺激して健康的に内側からも美しくなるようにと計算された椅子だそうです。確かに座ると背筋がぴんとなります。

 

96年の時を経てもなお色褪せない計算された美しさとその力強さに大きな刺激をもらいました。温故知新という言葉がありますが、設計に携わっていく気持ちに新たな力が加わりました。

 

by terai